負傷を公表せず試合に出ていた4月
「代表から外される危機感は常にある。ただ足が痛かったときに、代表がどうこうというのは考えていなかった。まずは自分をしっかり治さないといけなかったから」
今から1ヶ月半前の4月半ばの頃を思い返して、中村憲剛はそう回想する。あの時期、彼は心身ともに追い込まれていた。
チームは開幕からリーグ戦未勝利。自身のパフォーマンスも本来の出来とはほど遠いものだった。左内転筋の痛みを抱えながらのプレーだったゆえの低調だったが、「ピッチに立つ以上、それは言い訳にならない」と負傷を公表せず試合に出続けていた。もちろん、チームキャプテンとしての責任感が彼をそうさせたのだろう。
だが状況は好転していかなかった。4月13日のリーグ第6節、横浜F・マリノスとの神奈川ダービーに敗戦すると、チームは開幕からリーグ戦6試合未勝利となる。身体も限界を超えていたはずだ。中村はここで戦列を離れ、治療に専念する決断を下した。
「あのときは、あれ以上ないぐらいのどん底だったと思う。チームとしても、個人としても。あそこでよく休んだと自分の勇気を褒めたいぐらい。でも、それがよかったことを自分で証明できてよかった」
休んだから、また頑張れる。回復は順調に進み、5月には万全の状態で合流。そして中村の復帰とともに、チーム状況も右肩上がりになっていく。5月3日の第9節名古屋戦の勝利を皮切りに、終わってみれば、5月の公式戦は5勝2分の負けなしとなった。
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